真面目な出版社に就職したはずの喬太郎が配属された「特保課」の仕事はAV制作!! 喬太郎は先輩社員にしてポルノ王の娘・ローラと共に彼女の初監督作品を撮影することになった。すると、上司から無理難題を振られて‥。

ローラやスタッフがAV制作に信念を持って励む。その仕事ぶりが淡々と描かれていて、セリフに味も意味もあって説得させられる心地よさがある。どぎつい場面も、気負わない演出で独特の世界観を創り出していたね。

少女を"神聖な存在"として心から愛する男・葉介。ある日、葉介はバイト先の常連・小野川一子ちゃん（小学生）と、ひょんな事から仲良しに!! 何度も出会いを重ねて浮かれる葉介。だが、バイト先に怪しい男が現れて‥!

幼気な少女を純粋に愛くるしく思っている主人公が時折、野生の思いが巡ってしまい、怪しい眼になってしまうシーンはゾッとさせられる上手い演出。己を戒め、少女を守る検察官になるラストは読後感がよい。

7月11日、受験を控えた高校3年生の亮平は、いつものように親友2人とお喋りを楽しみ一日を終えた。だが朝目覚めると、なんと昨日と同じ7月11日!! 亮平は苦悩のループに陥った原因を探るため葛藤する。

とても難解なストーリーだが、思いもかけない展開に編み上げていて見事。高校生の「今がずっと続けばいいのに」という想いと亮平の事故死を重ねた演出も巧み。ラストの展開が分かりやすければ最高だったね。

主人公・未来が臆病な性格を乗り越え怒りを爆発させるシーンは、めくりと大ゴマを使って効果的な演出で迫力充分。ただ、所々に展開の荒さ、不自然さが見られるのが惜しい。

宮沢が別の男とホテルに通う心理は理解しがたいが、宮沢に虜になっていく七尾の焦りやいら立ちの演出はうまい。ラストの「実は恋に憧れていた」という展開は意外で感動的。

人物、戦闘機、セリフのすべてがカッコいいし、スピード感や迫力もある。あとは、戦争のリアリティと主人公のパイロットとしての優秀さを視覚的に表現できれば完璧だった。

鋭い絵のタッチや背景、擬音がとても個性的。ただ、リストに憧れるピアニストの心理を読者にも理解できるように分かりやすく説明してくれたら、より良い作品になったね。