第70回ちばてつや賞-ヤング部門-発表|講談社コミックプラス
 
     
   妄想と現実を巧みに演出した新感覚の才能に編集部一同、大・興・奮!!  

 
ちばてつや先生
 

ちばてつや先生総評

今回も、素晴らしい素質が集まっていて、今後が非常に楽しみな才能が多かったです。ただ、全体的に複雑な演出が多く、読み込んで初めて味が出る作品が目立ちました。漫画は読みやすさが大事。読者を迷わせないよう分かりやすく構成し、上手く導くことを意識してください。


大賞

『MoSo-Girl』
大賞
2014年5月19日(月)発売ヤングマガジン第25号掲載!

ストーリー

地味で控えめな女子高生・若松かえでは妄想が大好き!! 挨拶すら出来ずにいる、想いを寄せる同級生・桐生君の事を考えてはニヤニヤする毎日。でも、そんな自分にはちょっぴりイライラ‥。だがある日突然、桐生君と教室で二人きりになるシチュエーションが訪れて!?

 

ちば先生の選評

妄想と現実を混濁させる難しい演出にもかかわらず、最後のストーリー展開は予想を裏切られ面白かった。コマ運びが非常に上手く、キャラクター設定も巧みで画力もある。ラストのちょっとテレたかえでのひと言と桐生の赤面するシーンは可愛くて、ホッとさせられたね。

受賞作品を読む!

優秀新人賞

『トクホのローラ』
準大賞

ストーリー

真面目な出版社に就職したはずの喬太郎が配属された「特保課」の仕事はAV制作!! 喬太郎は先輩社員にしてポルノ王の娘・ローラと共に彼女の初監督作品を撮影することになった。すると、上司から無理難題を振られて‥。

 

ちば先生の選評

ローラやスタッフがAV制作に信念を持って励む。その仕事ぶりが淡々と描かれていて、セリフに味も意味もあって説得させられる心地よさがある。どぎつい場面も、気負わない演出で独特の世界観を創り出していたね。

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優秀新人賞

『ロリータ・ラヴァーズ』
優秀新人賞

ストーリー

少女を"神聖な存在"として心から愛する男・葉介。ある日、葉介はバイト先の常連・小野川一子ちゃん(小学生)と、ひょんな事から仲良しに!! 何度も出会いを重ねて浮かれる葉介。だが、バイト先に怪しい男が現れて‥!

 

ちば先生の選評

幼気な少女を純粋に愛くるしく思っている主人公が時折、野生の思いが巡ってしまい、怪しい眼になってしまうシーンはゾッとさせられる上手い演出。己を戒め、少女を守る検察官になるラストは読後感がよい。

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優秀新人賞

『One Day』
優秀新人賞

ストーリー

7月11日、受験を控えた高校3年生の亮平は、いつものように親友2人とお喋りを楽しみ一日を終えた。だが朝目覚めると、なんと昨日と同じ7月11日!! 亮平は苦悩のループに陥った原因を探るため葛藤する。

 

ちば先生の選評

とても難解なストーリーだが、思いもかけない展開に編み上げていて見事。高校生の「今がずっと続けばいいのに」という想いと亮平の事故死を重ねた演出も巧み。ラストの展開が分かりやすければ最高だったね。


準優秀新人賞

『今を生きる』
優秀新人賞

ストーリー

未曾有の大雨が住宅を飲み込み、マンションで一人絶望する主人公・未来。そこに乃亜が奇跡的に流れ着く。この状況でも笑顔をみせる乃亜を守り抜こうと決めた未来だったが‥。

 

ちば先生の選評

主人公・未来が臆病な性格を乗り越え怒りを爆発させるシーンは、めくりと大ゴマを使って効果的な演出で迫力充分。ただ、所々に展開の荒さ、不自然さが見られるのが惜しい。


準優秀新人賞

『ホテルラブスカイ』
優秀新人賞

ストーリー

ラブホテルでバイトしている主人公・七尾は合コンで冴えない女・宮沢に連絡先をせがまれる。すると、その宮沢が毎週木曜日に毎回違う男とバイト先に現れるようになる。

 

ちば先生の選評

宮沢が別の男とホテルに通う心理は理解しがたいが、宮沢に虜になっていく七尾の焦りやいら立ちの演出はうまい。ラストの「実は恋に憧れていた」という展開は意外で感動的。

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準優秀新人賞

『プライドバック』
準優秀新人賞

ストーリー

英国空軍に所属するアッドは成績優秀だが、上官と対立し出撃できない日々‥。苛立ちが募り、バディとも口論に。するとある日、米軍の大型ミサイルにより英国は滅亡の危機に!!

 

ちば先生の選評

人物、戦闘機、セリフのすべてがカッコいいし、スピード感や迫力もある。あとは、戦争のリアリティと主人公のパイロットとしての優秀さを視覚的に表現できれば完璧だった。

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準優秀新人賞

『リスト』
準優秀新人賞

ストーリー

夢を断たれた"元"天才ピアニスト・宮市リョウは、ある日奇妙な手を持つ男を車で轢いてしまう。病院へと見舞いに行ったリョウだが、そこで手を移植するという女性と出会う。

 

ちば先生の選評

鋭い絵のタッチや背景、擬音がとても個性的。ただ、リストに憧れるピアニストの心理を読者にも理解できるように分かりやすく説明してくれたら、より良い作品になったね。

受賞作品を読む!
     
期待賞
『オーディナリーデイズ』 38P饒平名優(28歳・沖縄県)
期待賞

選評

命を賭けて闘うガンマンの迫力が伝わる。ザ・西部劇と思わせ最後で裏切る演出もにくい。
 
 
期待賞
『サルと寺澤』 34P真岡洸太(23歳・埼玉県)
期待賞

選評

主人公の心情を丁寧に描き、感動がじわりと伝わる。ドラマを描こうという意識が高い。
     
期待賞
『隣の力さん』 32P阿部元一(25歳・埼玉県)
期待賞

選評

キャラクターたちが持つ"能力"を上手く活かしたミステリーが、とても良く描けていた。
 
期待賞
『フレッシャーズ!』 46P奥香織(26歳・鹿児島県)
期待賞

選評

「ヒロインが感情の高ぶりで武器化する」という発想が秀逸。独特な雰囲気を良く出せていた。