個性豊かな才能が大集結!! ヤンマガ最高峰の新人賞!!
ちばてつや先生総評
どの作品を大賞にしても良いと思うくらいレベルが高く、意欲的な才能あふれる選考でした。皆それぞれ個性あり、しっかりしたテーマもありで、今後が楽しみな異才新人ばかりです。編集部には、未来の漫画界を担う若い芽を大事に誉め、励まし、大樹に育ててくださることを願います。
大賞 賞金100万円+ヤンマガ奨学金60万円
『行き届いた会話』
江口侑輝
26歳 東京都
ストーリー
近い未来、技術特異点に到達した時代に、とあるチャットアプリが話題になっている。そのアプリは、人工知能が過去の会話履歴を学習し、あたかも本人かのように会話してしまうというもの。たった一人の親友を事故で失った園子は、アプリを使って死んだ親友との会話を続けようと試みる――。
ちば先生の選評
令和7年、近未来の「シンギュラリティ」にはこんな時代が来る……いや、もうすでに我々人類は人工知能に振り回されているのではないか?という作者のメッセージがひし、と伝わってくる。キャラクターも演出も全てにおいて洗練されて完璧だが、作品そのものもひょっとしてこれが人工知能で描かれたのでは……と感じさせる、ちょっと機械的で不気味な部分もあって面白い。
2020年11月21日(土)発売 ヤングマガジン52号掲載!
優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『わたしのかみさま』
オガワサラ
25歳 福岡県
ストーリー
特に何の目標もなく生きてきた女、ゆうに初めて生き甲斐ができた。それは推しのアイドルを応援すること。推しに貢ぐために風俗で大金を稼ぐゆうだったが、ある日出勤すると高級ホテルで待っていたのは推し本人だった。神様にも等しき存在を目の前にして、ゆうはどうなってしまうのか……!?
ちば先生の選評
こういう事はよくあるんだろうなあ……と思える話を作者は十分に咀嚼して自分の世界にしている。お互いが神様であったという出会いも良いし推しが1PでどUPの演出も上手いね。ラストの「自分の幸せを探しに」というところは本当に幸せになってくれよ!!と心から応援したくなる、読後感も良い作品でした。
準優秀新人賞 賞金30万円
『しきじさんスイッチ』
系山囧(けいやまけい)
22歳 埼玉県
ストーリー
高校生の夏休み直前、大月は片想い相手の敷地さんを花火大会に誘おうとしていた。しかし敷地さんが花火大会に誘ったのは大月の親友である太洋。失恋の辛さに途方に暮れていた大月は、ひょんなことから敷地さんと入れ替わってしまう!2人が入れ替わったままの三角関係、こんがらがった恋模様はどうなっていく――?
ちば先生の選評
キャラクターもテーマもいいが、あんなに誠実で優しい主人公「大月」が「敷地」を好きなのに、何故「太洋」が……?これまでのドラマの流れの"定番"を裏切る展開に作者の意欲を感じるし、面白いストーリーだが、男と女、体が入れ替わった時の言動がちょっと不自然だった。ここは読者がハラハラする大事なところなので少し残念。
準優秀新人賞 賞金30万円
『いつか』
織村つづれ
26歳 東京都
ストーリー
八並の幼馴染の一楓は、男だが女にも負けないくらい可愛い。一楓は毎日のようにSNSでライブ配信しているが、視聴者は八並を含めてもいつも一桁。しかしある日同級生がアップした写真が拡散され、一楓は人気者になり、アイドルへの道を歩み始める。成長していく一楓に対し八並は複雑な感情を抱くようになる。
ちば先生の選評
「バズり」「スクショ」「スパム」「垢」など、今どきの新語がたくさん出てきて頭がおかしくなったぞ。でも人物は皆可愛いし、好感が持てる。また、現代のテーマであるジェンダーレス、LGBTの世界を身近に消化して、エンターテインメントとして楽しくハラハラ読ませてくれました。セリフの流れが自然だし、作者のストーリーテラーとしての光る才能を感じるぞ。欲を言えばキャラクター(とくにモブたち)の描き分けを。
準優秀新人賞 賞金30万円
『いかなる時でも』
前野温泉
22歳 愛知県
ストーリー
耕史と千春は長年同棲しているカップル。ある日耕史は千春のプリンを勝手に食べてしまい、その報復として顔面を殴られたことで家を出て行ってしまう。数日後、戻ってきた耕史は何やら隠し事をしている様子。思いもよらないその秘密とは――?
ちば先生の選評
「チンスコウ」に引っ掛けて、おやじギャグの連発マンガ。妙に絵がリアルなので、突拍子もないストーリー展開に戸惑うが、超短気な女の子と大らかな男のキャラクターのバランスが面白く描けている。何としても面白いものを描こうとする作者の姿勢が頼もしい(やや空回りでもあるが)。
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佳作+編集長特別賞 賞金20万円+5万円
『ほなみと康之』
籾山果音
20歳 神奈川県
選評
ヒロインがとても可愛い。若干20歳ながら人を見る力があり、女の子の可愛らしい心情を上手く描けている。楽しんで描いているのは伝わってきたが、読者を楽しませようという心意気が伝わってこなかったので、より読者を意識した話作りを期待。
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佳作+編集長特別賞 賞金20万円+5万円
『ゾミア』
浅村壮平
25歳 東京都
選評
構成力、演出力、そして台詞回し、どれも高レベル。熱く胸躍る展開作りが上手く、これからもスケールの大きい作品に挑戦してほしい。画力は十分とは言えないので、デッサン、構図等含めてレベルアップが必要に感じる。
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期待賞 賞金10万円
『nirvana』
中西淳
24歳 京都府
選評
ストーリー展開に外連味があり、キメのシーンの表情が魅力的だった。話の内容はキャラの内側に寄りすぎていて、アウトローの題材を活かしきれていないように感じた。
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期待賞 賞金10万円
『なりたいからだ』
檜原フキ
27歳 神奈川県
選評
画力が高い。エロシーンに限って言えば既に連載できるレベルだと感じた。ただ、ところどころ主人公の動機を理解できなかったので、心情を描くことにも力を注いでほしい。
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期待賞 賞金10万円
『ふたつの遠吠え』
百田一穂
24歳 東京都
選評
人間味あふれる台詞が巧く、絵には一度見たら忘れない強さがあり、印象に残る作品だった。ストーリー展開としては事件が弱く、楽しんでくれる読者をかなり狭めてしまっている。
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期待賞 賞金10万円
『相州貞宗』
梶本祐希
27歳 大阪府
選評
ナレ―ションが長い割りに読みやすく、ところどころでハッタリが利いている。題材に対して取材もしっかりしている。しかし、主人公が超えるべき壁に曖昧さを感じ、乗り切れなかった。
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期待賞 賞金10万円
『幸せ入手方法』
酒見
21歳 神奈川県
選評
全体的にテンポが良く、暗い内容でも読みやすかったのは好印象。ただ、キャラクターも物語も一方通行であり、決められた役割を演じていた感じが強かったのが残念。
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期待賞 賞金10万円
『絶望をありのままに』
kana
23歳 宮城県
選評
虐待される主人公を心身ともに痛々しく描けていて、どん底の苦しみも、そこから救い出される希望もしっかりと伝わってきた。父親が一面的な悪者に感じたので、深みのあるキャラ描写を期待。
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期待賞 賞金10万円
『可愛い優子ちゃん』
斎藤崚河
21歳 東京都
選評
絵柄が魅力的で、やろうとしていることも面白いと感じた。ただ、自分が描きたいことに技量が追い付いていないので、演出方法など、多くの作品を吸収して勉強してほしい。