ちばてつや賞
ちばてつや先生も絶賛の才能たち大集結! ヤンマガ最高峰の新人賞!!
ちばてつや先生総評
ちばてつや先生
どの作品も演出が丁寧で、読みこまなくても作品に込められたメッセージがきちんと伝わってきたね。特に若い新人さんの作品は、考えて理解してあげないといけないことが多いんだけど、今回の受賞作は読みやすくて分りやすい作品ばかりで、スラスラ読めたところがよかった。ただ、自分の悩みや不安、愚痴を吐き出すだけの箇所もあって、共感はできるんだけど、読んだ後に暗い気持ちにさせられる作品が多かったのは残念だったかな。漫画は読んで「ホッ」としたり、「スッキリ」したりできるのが良いところ。物語の中に何か「救い」となるものを入れる意識が、もう少し見られると良かったかな。
大賞 賞金100万円
『イメージ・ビデオ』
後藤天泉 17歳 東京都 49P
ストーリー
いじめられっ子だった男子高校生の豚山は、同じ学校に通う美少女・高嶺みゆから、家出の話を持ちかけられる。当てもなく続く逃避行の中で、オタクと元アイドルという別々の世界に住む2人の関係が少しずつ変化していく。
ちば先生の選評
人物の描き方、キャラクターそれぞれの表情、演出とすべてに優れているし、読みやすく、メッセージもわかりやすかったね。はじめは気持ち悪く感じる豚山だったけど、そのバカっぷりがだんだんと可愛く思えてきて、最後には応援したくなる。という読後感が心地良かったな。あと、例えば作中の背景の1つである水しぶきをとっても、記号的な見せ方ですませるのではなく、リアルにこだわって描いているところにも演出のうまさを感じたな。
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2018年5月14日(火)発売 ヤングマガジン24号掲載!
優秀新人賞 賞金50万円
『こがねペットの1年生』
瀬田天 26歳 大阪府 40P
ストーリー
ペットショップでアルバイトをすることになった主人公・成美は、ブサイクでいつまでも売れ残ったままのモルモットに自らを重ね、心配する。「命に価値をつけるとは?」「幸せになれる居場所とは?」。ペットショップでの出来事を通して多くのことを学んでいく。
ちば先生の選評
描きたい世界、伝えたいメッセージに一番スジが通っていた作品だったかな。ペットショップやブリーダーたちの現実をしっかりリアルに表現できていたね。主人公が迷いに迷ってから、読者をホッとさせるオチにもっていくラストの展開もうまかったな。ただ、後半やや説明的になってしまったのが惜しかった。
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優秀新人賞 賞金50万円
『だくてん』
大瀬戸陸 16歳 広島県 49P
ストーリー
野球部に所属する田原には、妄想の友達で、顔がボールの男がいつも見えている。周囲の人たちとどうしても馴染むことができず、鬱憤を溜めこんだ彼が、バットを構えて‥‥。
ちば先生の選評
最後まで暗く重く、どう解釈しても辛い話だったね。だけど若いころには誰しも、同級生も家族も、気が合うと思っていた友達でさえ煩わしく感じて、消してしまいたいような感情になってしまうことがあるよね。そんな心情をリアルに感じられた作品だったかな。人間の心の奥底を描いていて見事だけど、あえて言えばどこかに微かでもいいから光(救い)を感じさせてほしかったな。
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優秀新人賞 賞金50万円
『ふつうの毎日。』
岩崎真 26歳 東京都 50P
ストーリー
兄妹2人で暮らす「ふつうの毎日」。穏やかに過ぎゆく季節と裏腹に2人にはある大きな秘密があった。「包丁を持つと人を刺してしまう」衝動を抑えられない妹と、妹想いの兄の日常とは‥‥。
ちば先生の選評
「妹はいじめに遭って、こうなってしまったのかな?」「両親は早くからいないようだけど、もしかして殺してしまったのかな?」と、いろいろ深く考えさせられる話だね。“ふつうの毎日”が平凡に続いていく描き方は、ある意味詩的で好みの演出だったけど、最後の恐ろしい真実への伏線でもある‥‥。読んだ人の心が重くなって、考え込んでしまうような、そういった力を持った作品だったね。
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準優秀新人賞 賞金30万円
『半分だけ信じて』
宮下暁 26歳 神奈川県 51P
ストーリー
1996年12月31日。余命1年と宣告された加藤はじめは「22年後の未来から来た」と言う女の子に出会う。半信半疑の加藤に「1996年の世界を見せてほしい」と誘う少女。彼女が今、加藤の前に現れた目的とは一体———。
ちば先生の選評
内容は深いものがあってとてもいい話だし、最後まで読むとホッとする読後感であるけれど、途中までちょっと「読まされる」感じがするのはもったいなかったね。ところどころ、しっかり見ないとわかりにくい絵があったのも残念。必要最低限のキャラとエピソードで短くわかりやすく表現する技術を身につけてほしいな。
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準優秀新人賞 賞金30万円
『ワンツー黒ちゃん!!』
小島幸平 30歳 群馬県 54P
ストーリー
いじめを苦に自殺を考えていた黒田は、偶然近くの川で溺れていた酔っ払いを助ける。元ボクサーを名乗るその酔っ払いから、お礼に「ワンツー」の手ほどきを受ける黒田。自分の力で闘うことを教わった黒田は、いじめっ子たちに立ち向かおうとするのだが‥‥。
ちば先生の選評
短編は読者が初めて見る世界だし、初めて出会うキャラクターばかり。だからできるだけ読み手を迷わせず、わかりやすい表現をしてほしかったな。ラストまでイキイキと面白く、読後感も良い話だが、いじめられていた主人公が始めから強そうで元気そうなのがもったいない。溺れていた元ボクサーも、もっと年を取った老人の方が面白かったかもしれないね。
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