争いを避け、面倒事を嫌って過ごす小学校6年生のこーき。ある日、夏休みの宿題を片付けるため図書室へと向かうと、そこにいた同じクラスの女の子・湊さんから、私に水をかけて欲しいと衝撃のお願いをされる!! その日から二人の、秘密の水やりの時間が始まった――。
学校でのいじめ、家庭の放任や無関心など難しい課題を扱った含蓄のある作品。頭から水をかけられるという行為を要求する湊さんに、戸惑いながらも快感を覚えていくこーきくんの微妙な心理を見事に表現している。朝顔の成長と湊さんの成長を重ねたラストも爽やかでホッとさせられたね。
強い劣等感と他人に対しての深い怒りによって、心の中に新たな人格を生み出したさねつぐ。そんな彼は、新たな人格に導かれて作った自前の銃で、自尊心を保とうとしていた。そんな時、いじめられっ子の少年・ナオと出会う。
タッチは荒いが、気弱な主人公がフラストレーションをため込んでいく表情には迫力がある。DVに苦しむナオや憎々しい義父の表現に感情がこもっており、ジンジンと伝わってくる。『人間』を描けるという、いい個性を持っているね。
今は亡き戦友・照英の意志を継ぎ、陶芸家となったドラゴ。だがある日、師匠に作品を見てもらうと、丸くなっているとの指摘を受け、思い悩む。そして、ドラゴの自らを取り戻すための険しい修行が始まる!!!
「芸術家たるもの命懸けに」というメッセージが、芸術家を茶化した比喩にも見えるところが面白い。陶芸に目覚めるキッカケにもうひと工夫‥‥いや、そんなものはどうだっていいほどのエンタメが充分あるね。
脳の一部を移植するコトで、事故より生還したとある青年。自らが女性を殺害する夢の謎を知るため、移植された脳の持ち主を探すが!?
最新医学を上手に使ったスリラー仕立ての話は面白いし、犯人も意外性があってよく考えられている。これだけ複雑な話や人間関係を40ページによくまとめたとも言えるが、もう少し読みやすさがあればもっと良くなると思うよ。
とある夏休み。日常から逃れるため、家出をした中学生二人組は、その道中に出会った気弱な探偵の人探しを手伝う事にするが!?
朴訥で温もりのあるタッチは好感が持てて、何度か読み込むと更に味がにじみでる作品。ただ、サラッと読んだだけでは意味が掴めない構図やコマ運びが多い事は課題。そして人物も、一目で大人か子供かわからせる工夫をしよう。