のどかで萌え風のキャラクターに親しみを感じるね。100年後に太陽が燃え尽きて地球にも住めなくなるというのに、新天地を探しに宇宙へ飛び出す少女「須川」と「高出」以外は何事もないような日常を送るというのは、不自然のようでリアルのようで、不思議な世界観を持った作者。ラストで地球人を救った功労者の像にさりげなく「果澄」を並ばせているところは、何とも言えないセンスを感じたね。

キャラクターがかわいいし、ストーリーも面白い。でもちょっと演出が荒いのでスムーズに共感できないところがあり、一度さらっと読んだだけでは気づかれないところが惜しい。ラストで不動産屋の存在はどうなるのか。霊は心おきなく昇天できそうもないのが心配だし、読後感が不安定になるぞ。

姉と弟のなんとも妖しい禁断の世界。作者はとても楽しんでぞくぞくしながら描いているのが伝わってくる。繊細なタッチで淫靡な演出はさらに磨けば作者独特の深い表現と世界が創れる可能性を感じる。

「家庭不和」「暴力」「いじめ」など現代の社会、子供や若者たちを覆う辛い課題を扱った問題作ではある。しかし作者は少々演出に力んでしまったせいか読みにくくなってしまった。優と陸の「痛み」は鋭く伝わってくるが、「何故そういう体質になってしまったのか」「これからどうなっていくのか」いろいろ腑に落ちないままなのは残念。

クラスメートたちを観察して「受け」だの「攻め」だのを想像して密かに楽しむサダオと師匠の二人の充実ぶりがかわいいし、絵や演出も魅力のある作品。表情もうまいね。セリフまわしも隠語を巧みに使って、若者たちの日常をリアルに伝える力量もあるのでいろいろな表現世界に挑戦してほしい。